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お兄ちゃんとの大切な想い出

12年前から今までの、お兄ちゃんとの想い出を綴るHPです。一応18禁ですが、エロは期待しないでください。最近3回分の連載日記は、このトップページに掲載します。過去の日記やBBSログへのリンクは、このページの最下部にあります。携帯電話の方はこちらです。(管理人:お兄ちゃん子)


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my brother:過去の連載のまとめ(by 抽出係さん)

IMAGES:連載のイメージ画(by 90℃さん)


●連載323(ここでの連載142)●
2003年8月27日(水)23時20分

「なにか悩み事?」

手すりにもたれているj君の隣で、わたしも頬杖を突きました。

「う〜ん、悩みと言えば悩みかな」

わたしの目には完璧に映るj君に悩み事があるというのは、意外でした。

「よかったら聞く」

「…………」

屋上は風が強く、わたしは目を細めました。
返事を期待せずに、待っていました。

「なんて言ったらいいんだろう?
 人間関係はむずかしい……ってこと」

「抽象的ね」

「これは秘密にしてほしいんだけど……」

「もちろん」

「俺、女性恐怖症みたいなんだよね」

「は?」

「大勢だと気にならないんだけど、女の子と二人っきりになると……駄目だ。
 頭に血が上って訳がわからなくなる」

至極真剣そうな声でした。

「……真面目に言ってる?」

「ホントだって。あ……そういうことか」

わたしに失礼な物言いだったと気が付いたようです。

「例外があるんだ。姉貴と××さんだったら平気なんだよ。不思議と。
 姉貴は最初から女とは見てないし。
 ××さんは、その……女女してないというか、中性的というか……」

「色気が皆無だと言いたいわけね」

「ごめん。女を感じない、と言ったら言い過ぎかな」

怒って然るべき場面でしたが、わたしにも思い当たるふしがありました。

「そうね。わたしも、j君には特別なモノがあると感じてた」

「特別?」

「今気が付いたんだけど。
 j君って、いやらしい感じがしない。ぎらぎらしてない、って言うのかな。
 男とか、女とか、そういうものを超越しているみたいに見える」

面白そうに笑いながら、j君が横目でわたしを見ました。

「それは××さんも同じなんじゃない?
 女子の噂話からいつも超然としてるし、男には興味ありません、って感じがする」

「そうかな」

j君にお兄ちゃんの話をしたら、どんな顔をするだろう、と一瞬思いました。
言えるわけがありません。

「まっ、悩みってほどじゃなかったな。
 今のところ忙しくて彼女作るどころじゃないしね」

「選挙、勝てるといいね」

「勝てるさ」

「ふふっ」

ふいに可笑しくなりました。
聡明で、いつも自信たっぷりに見えるj君に、こんな弱点があったなんて。

「笑うなよ」

拗ねたように、j君がそっぽを向きました。

「ごめんなさい。でも、意外だった。j君は完璧だと思ってたから」

「俺が完璧? 冗談」

冗談ではありませんでした。
j君は抜群に頭が切れました。自慢しなくても、話せばわかります。
それだけでなく、人の輪に入ると自然に中心になっていました。
人見知りするわたしにとっては羨望すら覚えるほどに。

「j君は頭が良いけど嫌味じゃない。誰からも信頼されてる。話すのも上手い。
 もちろん落語も。わたしなんか、発表会のことを考えると気が遠くなりそう」

2学期に入ると文化祭があります。
落研の新入生は、その時に発表会で前座としてデビューする慣わしでした。

「まだ、時間はある。夏休みには合宿もある。頑張ろう」

夏休みに1週間泊まりがけで合宿をするのも、落研の伝統でした。

「想像しただけで、息が止まりそうにどきどきする」

「実は……俺もなんだ」

これは冗談だったのかもしれません。j君は声を上げて笑いました。
この時、わたしとj君は、紛れもなく同志でした。

「……ということがあったの。お兄ちゃん、聞いてる?」

パフェ越しに見えるお兄ちゃんの表情は、上の空に見えました。

「ん、聞いてる。j君は……ちょっと変わってるな」

「うん」

久しぶりにお兄ちゃんと喫茶店に来ていました。
学校での出来事を話すと、お兄ちゃんはなにやら物思いにふけっているようでした。
中断を余儀なくされた自分の高校生活を思い出していたのかもしれません。

「しかしまあ……お前が落語とはなあ……」

お兄ちゃんが改めて、呆れたようにつぶやきました。

(続く)

●連載322(ここでの連載141)●
2003年8月21日(木)23時30分

翌日の放課後、j君がわたしの席の前に立ちました。

「××さん、今日の練習は屋上に集合だってさ」

「屋上で?」

「そうそう、発声練習らしい」

落語の演目を覚える以前に発声の仕方をマスターしておかないと、
喉を傷めてしまいます。

校舎の屋上はふだん安全のために出入りを禁止されていましたが、
落研が練習のために立ち入り許可を取ってあったのです。

屋上にあがって見下ろすと、
フェンス越しに様々な部活動の練習風景が一望できました。

k部長がよく通る声を響かせました。

「あえいうえおあお〜、かけきくけこかこ〜、あめんぼあかいなあいうえお〜。
 みなさんどうぞごいっしょにぃ〜」

みんなで声を揃えて練習しました。
次いで、一人ずつ順番に校庭に向かって声を張り上げます。
先輩だけでなく、j君やm君、nさんも美声でした。

わたしの順番は最後でした。
l先輩が耳を傾けて、アドバイスしてくれます。

「××さん、もっと下腹に力を入れて」

わたしの声は、自分でも哀れなほど弱々しく、か細く聞こえました。
k部長もj君も、可哀相な人を見る目でわたしを見ているかと思うと、
恥ずかしくて顔を上げられません。

練習を繰り返しているうちに、真っ先にわたしの喉がかれてしまいました。
みじめな気持ちでフェンスにもたれて休んでいると、隣にj君が来て空を見上げました。

「あんまり気にしなくていいよ。最初はあんなもんだって」

「……やっぱりわたし、向いてないんじゃないかな」

「まだ始めたばっかりじゃないか。あきらめるには早すぎるよ。
 俺はもっと酷かったかもしれない。元々上がり症だったからさ」

「信じられないなぁ……j君は才能あると思う」

「そんなことないよ。俺にもっと……姉貴ぐらい才能があればなあ……」

i先輩の伝説はその頃、噂話にうといわたしにさえ、漏れ聞こえていました。
曰く本校始まって以来の才女だとか、女帝だとか、スターだとか。
出来の良すぎるきょうだいを持つのは、なにかと大変なようです。

一見したところ、j君にはお姉さんに負けない才能があるように見えました。
教室でも、j君は自然にリーダーシップを発揮していました。

わたしたちの担任であるo先生は、倫理社会担当の若い男性教師でした。
教師の中では珍しい長髪で、破天荒なほどさばけた態度のせいか、
男女を問わず幅広い人気を集めていました。

生徒の自主性に任せる……というのがありがちな手抜きやお題目ではなく、
後ろからじっと見守ってくれるお兄さん的なオーラがありました。
o先生の影響か、クラスは後に異例な一体感を醸し出すことになります。

そんな雰囲気の中、ホームルームで議長を務めることになったj君は、
わたしを書記に指名しました。

「要点をまとめて議事録を書いてくれる? ××さん、そういうの得意でしょ?」

議長といったまとめ役は、面倒を押しつけられる損な仕事というイメージがありました。
それだけに、進んでまとめ役を引き受けるj君は珍しい存在でした。

中学の頃のaさんとは違って、自己顕示欲のせいだとは思えません。
j君は己の為すべき事を知っていて、淡々と実行に移しているようでした。

「では、次は生徒会選挙の議題です」

クラスのみんながいっせいに目を逸らせました。
生徒会執行部役員の選挙とは別に、クラスで代議員を選出しなくてはいけません。
みんな自分が推薦されるのを恐れているようでした。

女子の声があがりました。

「代議員はj君がいいと思いま〜す」

「発言の前には挙手してください。
 残念だけど、僕は代議員には立候補できません」

「え〜?」

「……執行部役員に立候補するつもりですから。
 さすがにいきなり会長、ってわけにはいきませんから、副会長に。
 クラスのみんなには、選挙期間中、応援をお願いします」

j君の宣言に、クラスがどよめきました。
それまで生徒会執行部の選挙では、候補者の頭数を揃えるのに苦労していました。
選挙といっても実質的には候補者一人ずつの信任投票になっていました。
新入生が副会長に立候補するなんて、まったく前例がありません。

j君は立候補の動機をクラスのみんなに語り始めました。
この高校は元々、自由な校風が伝統でした。
けれど、生徒会が人材不足のため実質的に機能せず、
学校行事の内容が教師の言いなりになりつつありました。

その傾向に警鐘を鳴らしたのが、j君のお姉さんである前会長のi先輩でした。
j君は先輩たちにやる気がないのなら、自分が生徒会を乗っ取ってやる、
と不敵に宣言しました。もし会長に立候補する先輩が居なければ、
自分は副会長ではなく会長に立候補する……とも。

j君の宣言は全校に波紋を広げました。
新入生に好き勝手言わせておいていいのか……という声があがり、
会長だけでなく、副会長以下にも複数の立候補者が名乗り出ました。

こうして、前例のない活発な選挙戦が始まりました。

ある朝、わたしは校門の所から、屋上に独り立つj君の姿を見かけました。
わたしはいつもの図書室ではなく、屋上を目指しました。

「おはよう、早いのね、j君」

j君は振り返らずに答えました。

「おはよう、××さんも早いね」

「通学ラッシュが嫌いだから、早めに登校して図書室で時間を潰してる」

「なるほど」

「j君は?」

「色々と考え事があってね」

(続く)

●連載321(ここでの連載140)●
2003年8月17日(日)22時50分

それから6人ともきちんと正座して、畳の上で輪を作りました。
今日が最初の練習です。なにが起きるのかと、緊張が辺りを支配しました。
突然、k先輩が右こぶしを高く突き出しました。

「それではー、新入生諸君の健康と幸せを祈ってー、かんぱーい!」

k先輩はこぶしを口許にもっていき、ゴキュゴキュゴキュと喉を鳴らしました。
ジョッキで生ビールを飲むパントマイムでした。

唖然として声もなく見つめていると、k先輩がわたしたちを見回しました。

「……外した?」

l先輩がk先輩の肩をポンと叩きました。

「うん。努力は認める」

度肝を抜かれていたnさんが、今ごろになってキャハハハと笑いました。

「すっごーい似てましたよ〜♪ センパイ」

k先輩は前腕で涙を拭うフリをしました。

「いいよいいよ。お世辞は……すんすん」

釣り込まれるように、言葉がわたしの口を衝いて出ました。

「本当に、」

とたんに視線がわたしに集中しました。顔が熱くなりました。

「あ……とても、お見事でした。今のも、落語の練習ですか?」

k先輩はとぼけた口調を崩しませんでした。

「いや〜そういうワケじゃないけどね。稽古だと思えば何事も稽古だ。
 と……いうわけで!」

l先輩がその後を引き取って続けました。

「新入部員歓迎会を兼ねて、今日は遊びに行こう。お金は心配いらない。おごりだ」

nさんが手を叩いて喜びました。

「やった〜! 太っ腹〜」

実直そうなl先輩の言葉だと、冗談だと思わずに済みます。

「そうそう、部費をちょろまかした貯金があるからなっ」

k先輩は部長なのに、どこまでが冗談かわかりません。

「おい……k、新入部員が本気に取ったらどうするんだ」

「もちろん、そんなことあるわけないだろう? 大問題になるもんな」

k先輩とl先輩は落語家というより、漫才コンビのようでした。

6人でバスに乗って、駅前に出ました。
通りを歩くときは、自然に縦に長い列になりました。
先頭がk先輩とl先輩のペア、続いてm君とnさんのペア、
最後に少し遅れてわたしとj君です。

「先輩たち、嬉しそうだね。新入部員が入ってよっぽど嬉しかったみたいだ」

「そうね」

「新3年生の部員はゼロだったし、あのままだと廃部の危機だったからなあ」

部活動というのは上下関係が厳しいものだ、と思っていました。
落研の和気藹々とした雰囲気は、予想より居心地が良くてほっとしました。

「j君は、前から落語が好きだったの?」

「うん。姉貴に勧められてね。俺は対人恐怖症ぎみだったんだ」

「え? それ、冗談?」

「ホントホント、ホントの話」

j君の顔は至極真面目そうでした。人は見かけによらないとはこのことです。
クラスメイトの男子の中で、j君は群を抜いて落ち着きがありました。
浮いている人が居るとさりげなくフォローする気配りは、なかなか真似できません。

今、こうしてわたしと並んで歩いているのも、
快活な落研の中で、わたしが一人はみ出さないようにするためでしょう。

「信じられない……」

まじまじと、j君の顔を見つめてしまいました。
j君は生まれながらのリーダーのように見えました。

「ホントだって。今でも完全に治ってるワケじゃないんだ」

「ぜんぜんそんな風には見えないよ?」

「そうだといいんだけどね」

j君は頬のニキビの跡をポリポリと掻きました。

「おーーい!」

ずっと先の方から、k先輩の呼ぶ声が聞こえてきました。
わたしの歩くのが遅くて、かなり後れてしまったようです。
わたしたちは歩を早めて追いつきました。

歓迎会はカラオケボックスの部屋で開催されました。
わたしの知っている曲はほとんどありませんでしたが、
無理やり歌わされたりはしませんでした。

わたし以外は一人残らず、驚くほど歌が上手でした。
多芸多才な面々の中で、わたしはやっていけるのだろうか、と内心不安になりました。

(続く)

連載を再開します
2003年6月26日(水)8時55分
13ヶ月ぶりに、連載を再開しました。前のようなペースでは続けられないと思います。まだこのHPを見ていてくださる方がいらしたら、たまに見に来ていただくだけで十分です。BBSでのご声援に、感謝しています。


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